館長ひとりごと
2024-10-30
昨日は寒い雨でしたね。友人のお嬢さんたちは昨日ディズニーランドにでかけたそうで、随分と寒い思いをされたのではと思います。11月みたいな寒さでしたね。
11月の雨、というといまや漫画界の大御所となった萩尾望都さんの11月のギムナジウムという短編を思いだします。映画を見ているような珠玉の名作だと思いますので、読んでいない方には是非お勧めします。
事情があってお互いの存在を知らずに離れて育った双子の美少年(は必然ですね!)が全寮制のドイツの学校で出会います。その二人の短い出会いと別れを描いた作品なのですが、何度読んでも泣けてしまいます。昨日の冷たい雨は、母を知らない双子のトーマが、双子の片割れエーリクのふりをして帽子を目深にかぶり、雨の中母に会いに行くシーンを思い出させました。
結局、トーマはその雨の日から体調をくずして亡くなってしまいます。せっかく会いにいった母とも玄関先で逃げ帰るように別れてしまいます。冷たい雨の降るなか、彼の嗚咽が描かれます。そこも胸が詰まるのですが、全てを知ったエーリクが、トーマと心を通わせた一瞬の出来事を想うラストも泣けます。お互いたった一人きりの双子の兄弟なのに、思い出はそれだけ、そして永遠に巻き戻らない時間があるだけです。
最近、漫画でもそのような作品が沢山あるようですが、人生を巻き戻ってやり直す、というテーマのドラマなど多いようです。そんな都合の良いことがあったら本当にラッキーなのでしょうが、現実にはあり得ない。まだ若い学生さんには分からないと思いますが、人生は選択の連続です。ゲームみたいにやり直せるわけでもない。選択したらその道を辿るしかないのです。
人生を巻き戻ってやり直すことはできませんが、幾つになってもやれることをやり直すことは努力しだいで可能だと思います。
でも、第一は間違った、軽はずみな選択をしないことが肝要ではないでしょうか。北海道の二十歳の大学生の無惨な殺人事件など、最近の若い人たちの、人の痛みを全く理解できないような残忍な行動はとても恐ろしいです。犯人グループには二十歳の女子大学生も二人含まれています。
いろいろなことを考えると、先だっての選挙で某党が言っていた、全ての子供たちを無償で大学まで通わせる必要があるのか、と疑問に思います。
本当に勉強をしたければ、働いてからもできますし(実際息子の大学の同級生にはそういう方が居たそうです)、それも選択です。
人生は思う通りにいかないのが既定路線です。その時々で正しいと自分が信じる選択をしていくしかありません。